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2009年7月12日 (日)

師匠に叱られた英夫と邦夫、由紀夫にも受け継がれる怖さの根源

 7月11日16時56分配信 夕刊フジ「たけし、東国原を一喝『あんたが思うほど甘くない』」が面白かったですね。

 宮崎県の東国原英夫知事が10日夜、都内のレストランでお笑いタレント時代の師匠である、ビートたけしと会食したことが分かった。この席で、自民党から要請された次期総選挙への出馬について、たけしは「逆風がすごい。メディアは甘くない」などと忠告したという。世論調査でも、国政転身には7、8割が「ノー」を突き付けているが、「自民党総裁」を狙っていたごう慢知事はどう判断するのか。

 これは、日本テレビ系「ズームイン!! サタデー」が11日朝、報じたもの。東国原知事は10日夕、東京・羽田空港に到着し、車で銀座の高級レストランに入ったという。

 その後、たけしが突然現れ、店の中に。東国原知事は2時間ほどして出てきて立ち去ったが、それから約1時間後にたけしが出てきて、会食内容を説明したという。

 たけしは同局の取材に「(自民党からの出馬は)ちょっと考えた方がいいと言った。一般の人はこう見ている。メディアはこう流れている。あんたが思っているほどメディアは甘くない。逆風が強すぎると伝えた。選ぶのは(東国原知事)本人だよ」などと語った。

 師匠の忠告に、東国原知事は「分かっています」と答えたという。

 これまで、東国原知事は「自分が出馬すれば自民党を負けさせない」などと、強気&ごう慢発言を繰り返していたが、9日、「予想以上に逆風だ。住民と接して快く応援して送り出していただくことはない。自民党内外でも逆風が多い」と、一転して弱気に。

 世間を騒がせた鳴り物入りの「東国原スペシャル」も、視聴率(支持率)低迷で、早々に打ち切りとなりそうだ。

 ほぼ予想通りの展開ですが、さぞかし、たけしに”お目玉”食らったことでしょう。”ばか野郎!おめえなんか、芸人の恥さらしだ!”くらいのことは言われたのではないでしょうか。「選ぶのは本人だよ」という師匠の最後の言葉には”愛の鞭”さえ感じますが、所詮世間は才覚の勝負ですから、この難局どう切り抜けるか、なお笑える余地が残っていれば幸いですが・・・。

 また、文藝春秋八月号「」鳩山邦夫大いに吼える」「鳩山家四代 エリート血族の昭和史」(佐野眞一)も近年にない面白さでした。

 次は佐野眞一氏の鳩山邦夫インタビュー後の感想の一節
 「ここで気がつくのは、何不自由なく育った御曹司ならではの周囲への配慮を欠いたふるまいや、自分の所信を一度「ため」てから発言する慎重さを欠いた(鳩山)一郎の不用意な言動が、孫の世代にも受け継がれていることである。それは私の質問に、誤解を恐れず答えた邦夫のインタビューをお読みいただければわかるだろう。邦夫はコードを無視した音楽のように、あるいは砂場遊びで自分の城をつくった子どもをのように無邪気に語りつづけた。その素直さは、危うさも感じさせた。」

 一読して、本当にそんな印象でしたね。逆境を知らずに育つと超秀才でもこれほどちぐはぐな感性を持つに至るのかといった驚きです。というより、一種のマザコンかとも思いました。

 まず麻生太郎との出会いの話
 「お前か、鳩山一郎の孫っていうのは。おれは吉田茂の孫」葉巻をくわえながら椅子にふんぞり返る麻生の仕草を、だみ声まで真似て、その最悪の初印象を語りながら、その人に”心配り”の礼状をもらったり、「キンキの煮つけ」を一緒に食った程度で”本当にいい人だ”と感激するその人の良さ。

 それから例の日本郵政の話
 「かんぽの宿」問題は庶民感覚で非常に分かりやすい。濡れ手に粟で儲けようとしている奴がいて、そのために国民の共有財産が毀損されていくという話です。これまでの私の政治活動の中でも、この話をするとウケがまったく違う。・・・また、国会見学に来た女子中学生の集団が私を見て、「キャー」って歓声を上げる。こんなことは生まれて初めてですよ。私の自宅の前に女子校があるのですが、そこの生徒たちも、朝、私が出かけるのを見かけると騒ぐ。・・・国民は善悪や正邪の判断をしっかりと下している。・・・総理周辺からは「そうかなあ」という気の抜けたような反応しか返ってこなかった。」

 それから兄由紀夫の話
 「兄は努力家です。しかし信念の人では全くないと思います。自分の出世欲を満たすためには信念など簡単に犠牲にできる人です。・・・今は虚像が前面に出すぎていますよ。実像はしたたかを絵に描いたような人で、じぶんのためになるのなら、どんな我慢もできるんですよ。あの人は。」

 「ズルい人ですから、いまでも政界遊泳術という点では日本一のスイマーでしょう。最後に自分がうまく昇りつめられるように、全て計算して生きてきたという感じがします。だから見事だといえば見事なのですが、私のような自分の信念や正義漢を大切にする人間からは、考えられない世界に生きている人ですね。」

 「私から見れば宇宙人ですね、まさに。自分の権力欲にここまで忠実に生きてこれるというのは大したものですよ。・・・
 兄は私に『小沢一郎的なものを全部、今の政界から抹殺するんだ。それがオレのライフワークなんだ』とも口にした。どうして小沢一郎がそんなにダメ何だと尋ねると、兄は『とにかくすべて金権政治だ。ぜんぶ金じゃないか。派閥の計算だけでやるじゃないか』という。・・・
 問題はそこまで嫌っていた小沢一郎さんにゴマををすって、べったりくっついていったことです。・・・やはり信念のないのが宇宙人なんでしょうね(笑)。」

 にもかかわらず、東大卒業後は官僚への道を蹴とばして田中角栄の秘書になった、その田中が邦夫に語った話
 「わしはね。政治家になるために無理をしているし、なってからもいろいろ無理をしとる。だからいろいろな歪みがあるんだ。世の中の人は『苦労が大事だ』と言う。おそらく『苦労がないぞ』と君にいう人も、将来、いっぱいいるだろう。だけど、出来ればくだらん苦労はしないほうがいいんだ。俺は苦労した。苦労したのはいいんだけど、その苦労が無理になっている部分がある。そういう面は反面教師だ。だらけろと君にいっているんじゃない。でも無理しないで政治家になれたら、それが一番いいんだ。そのほうが素直な政治家が育つ」

 それから一番好きなことは何かと問われて
 「そりゃ一杯飲んでるときですよ。それも付き合い酒ではなくて、気心の知れた友人たちを引き連れて、好きなものを食いに行く。
 蝶の世界では、フィールドに出て蝶が飛ぶ姿をみたり、卵や幼虫を探索するとき。これをしていると本当に生き返ります。・・・国内の蝶は・・・あまりいい表現ではないけど、女子高生みたいな感じで、海外の蝶は銀座のホステスさんみたい。」

 それからじいさん鳩山一郎の話
 ある日夕食を共にしたとき、邦夫は先ほどまで見ていたマンガのことを考えていて思い出し笑いをした。その時脳溢血で半身不随だったじいさんは自分のことを笑ったと思ったのか「食事中に笑うとは不謹慎だ。出てけ」と烈火のごとく怒った。その後二人は夕食をさっさと食って二階に上がり、人名辞典にある鳩山一郎の生年月日の(一八八三~)と空欄になっているところに、翌年の「一九五九年」と書き込んだら、本当に当たって祖父は翌年死んでしまった。

 それから師匠ともいうべき、おふくろ安子さんから叱られた話
 総務大臣を辞めた直後姉を通じておふくろから伝言があり「話したいことがある」ということで、電話で話した。その時「西川さんとか何とかって、そんなくだらないことやってないで、もっと大きなことしなさい」と、おふくろに言われた。「もっと大きなこと」って何だろう。(笑)

 私も、久しぶりに愉快に笑わせていただきました。佐野氏は、「私は正義を貫く」などと、「還暦過ぎの男なら、ふつうそんな青臭い台詞は恥ずかしくて口がさせても絶対言わない」はずの言葉をぬけぬけと吐く邦夫や、「友愛」という小学校のホームルームなみのスローガンを臆面もなく掲げる由紀夫の発言を、単なるポピュリズムと見るのは間違いで、それは、鳩山家の恵まれた生育環境がもたらした特異な人格形成の賜と見るべきではないか、と言っています。

 というのは、彼等の祖父一郎も、「政治は力に非ず正義なり」「政治の本質は友愛」という言葉をぬけぬけと発し続けた政治家だったからです。佐野氏は、鳩山一郎の例の「統帥権干犯発言」についても、「それは一郎の大向こう受けを狙ったパフォーマンスや、タカ派的イデオロギーの発露」というより、むしろ「周囲に担がれ先頭を切って熱っぽい演説をぶつお坊ちゃん政治家の無鉄砲さ」の現れだと解釈しています。

 では鳩山一郎はこの時、誰に担がれていたのでしょうか、いうまでもなくそれは政友会幹事長森恪だと思います。この件について、NHKジャパンデビュー「天皇と憲法」では、政友会総裁であった犬養毅の責任だけに言及していますが、それはおそらく、現在の政局に配慮したためでしょう。というのは、この統帥権干犯問題に関する幣原外相の失言問題で、犬養首相は森を抑えて民政党との妥協を図っていますが、鳩山一郎は浜口雄幸首相が狙撃された後も、幣原首相代理に対して執拗な攻撃を続けているからです。(このことは、五・一五事件で海軍青年将校に暗殺されたのは犬養であることを見れば一目瞭然です。)

 その鳩山一郎の、政府の「統帥権干犯」を責め立てる国会演説の一節
 「用兵と国防の計画を立てるということが、憲法第十一条の統帥権の作用であるかどうかということを考えますれば、参謀本部条例または海軍軍令部条例に二つのものを同じく規定しておる趣旨からして、ともに憲法第十一条の作用の中にあるということは議論はないのである。果してしからば、政府が軍令部長の意見に反し、あるいはこれを無視して国防計画を立てる」ことについて・・・「輔弼機関でないものが飛出してきて、これを変更したということは、まったく乱暴であるといわなくてはならぬ。私はこれをこのごろにおいてのまったく一大政治的冒険であると考えておるのである。」

 こうした鳩山一郎らの演説は、「多年軍閥と戦い、軍備の経済化をとなえ、軍縮を持論としてきた政党政治家の節操をすてた、まさに自殺的行為であった。彼等が激発した統帥権干犯論がやがて犬養その人の生命と同時に政党政治の命脈を断った五・一五事件の動因となったのは、歴史の皮肉の鮮やかな一例であろう」とされます。しかし、これがもし「周囲に担がれ先頭を切って熱っぽい演説をぶつお坊ちゃん政治家の無鉄砲さ」の現れだとしたら、こうした行為を鷹揚に見過ごすわけにはいかなくなります。

 そのまんま東氏には”たけし”という恐い師匠が健在ですからまだよいとしても・・・。 

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