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2019年8月29日 (木)

小池都知事、「根回しなし」は結構だが事実認識を誤っては元も子もない(2016年12月 5日掲載)

小池都知事の都知事選におけるパフォーマンスは実にスマートで、安倍首相も”きつい一本を取られた”というほどお見事なものでした。しかし、知事就任後、「東京大改革」の手始めとして氏が行った「豊洲移転延期」と、地下空洞の存在が発覚して以降の氏の問題処理については、コンプライアンスの観点からの疑問に止まらず、事実認識を誤っている、あるいは歪曲だ、との指摘がなされています。

この問題については、橋下徹氏が、小池都知事の「豊洲移転延期」の決断に対して当初から疑問を呈し、豊洲の安全性については、土壌汚染対策が十分すぎる程行われており問題ないこと。費用や利便性の問題は開場後に対応すればよいこと。また、地下空洞については、建築工法上はもちろん土壌汚染対策上も問題ない。小池都知事が「東京大改革」に本気で取り組むなら、まず来年度予算編成に全力を注ぐべきだ、と提言していました。

こうした橋下氏の見解に対して、”小池氏に嫉妬しているのでは”等揶揄する意見もありました。私自身の意見は、技術的な観点では橋本氏の言う通りだが、小池氏としては、都議会の現状から”敵を弱くし見方を増やす政治”をやらざるを得ない。そこで、豊洲の土壌汚染対策の一環としてのモニタリングが完了していない点を突き、その安全性確保に万全を期す姿勢をアピールしたのではないか、というものでした。

といっても、豊洲の安全性については、マスコミの醸成する「空気支配」に振り回されることなく、科学的な検証を経て、出来るだけ早期に開場すべきと考えていました。ところが、「地下空洞」が発覚して以降の小池都知事の対応は、「なぜ地下空洞が設置され、かつそれが隠蔽されたか」の事実解明に向かうより、「地下空洞」設置を「整備方針」違反と決めつけ、その責任者を追求する姿勢が目立つようになりました。

こうした違和感は、私は、10月7日に公表された石原都知事に対する質問状を見て感じました。マスコミでは小池都知事の追求姿勢を囃す意見が大半でしたが、私は、3代前の84歳の老知事に対する質問状としては、いささか酷すぎると思いました。質問の答えは「幹部職員や担当職員からも事情を聞いていただければ、自ずから何があったのかは明らかになる」(石原元都知事の謝罪文)のに、あえて晒す必要があるのかと・・・。

ただ、小池都知事が、「豊洲の安全性」について、都が事実と異なる答弁や説明を議会や都民に対して行ったことを問題にし、個人責任を追求するのは当然だと思います。日本の伝統的なやり方としては、”私の不徳の致すところ”などと言い個人責任を曖昧にする傾向がありますので、同じ過ちを繰り返さないためには、職務上の個人責任を明確にし、然るべき処罰を行う必要があります。

しかし、その処罰を適正ならしめるためには、「なぜ地下空洞が設置され、かつそれが隠蔽されたか」の事実解明をしっかり行わなければなりません。この点、小池都知事はこの事実解明に失敗している。『失敗の本質』などの本を紹介し、意思決定における「空気支配」の問題点を指摘しながら、自身は、この「空気」を支配しようとして逆に「空気」に支配されているように見えます。

こうした疑問は、第二次自己検証報告書で「平成21年2月6日、石原知事決定の「豊洲新市場整備方針」(以下整備方針という)が策定された。技術会議の提言内容(敷地全面A.P.+6.5mまで埋め戻し・盛土)をもって都の土壌汚染対策とすることが明記された。これにより、専門家会議、技術会議の提言は、都の方針となった。」と記述して以降の論理展開に感じるようになりました。

その論旨は次の通り。
整備方針には、「技術会議から報告を受けた土壌汚染対策の具体的内容、経費及び工期をもって、都の土壌汚染対策とする。」と明記され、「埋め戻し・盛土」の項には、「敷地全面にわたり、A.P.+2.0mの位置に厚さ50cmの砕石層を設置する。」「砕石層設置後、計画地盤高(A.P.+6.5m)まで埋め戻し・盛土を行う。」と明記されている。

従って、こうして知事方針となった「整備方針の決定以降、状況の変化等により、仮に整備方針と異なる意思決定を行うことを迫られた場合には、上司等への報告はもとより、整備方針の変更や専門家会議、技術会議への報告など必要な措置を講じるべき状況となった」。従って、その後、「整備方針に反して、建物下に盛土をせず地下にモニタリング空間を設置することを前提に基本設計の作業を進めた」市場長や市場部長級職員の責任が問われなければならない。

また、なぜ地下にモニタリング空間を設置したのか、と言う疑問については、「平成20年後半から21年はじめにかけての時期、土壌汚染対策法改正への対応を迫られた中央卸売市場管理部新市場建設課において、地下にモニタリング空間を設置することによって万が一の場合に備える必要があるとの基本的な認識が生じ、新市場建設調整担当部長の指示のもと具体的な内部検討に入っていたと推察できる。」としている。

こうした論理展開の中で私が抱いた疑問は、石原知事決定の「豊洲新市場整備方針」が「全面盛り土」であったと言うなら、追求さるべきは、その方針に反して地下空洞を設置した者達ではないか。少なくとも、その後の石原氏を地下空洞設置の元凶とするかのごとき風評が生じたが、それは小池氏の石原氏に対する居丈高な質問状や物言いに端を発しているのだから、訂正ないし謝罪をすべきではないか、というものでした。

また、「全面盛り土」による土壌汚染対策が都の方針として決定された、というが、都の「整備方針」には本当にそんなことが書かれているのか疑問に思いました。というのも、私は「全面盛り土」は専門家会議が提言し、その後技術者会議と都の建設部門の技術者が協議して地下空間の設置となった。それが議会で間違った説明をされても問題にならなかったのは、地下空間の設置は技術者間で当然視されていたからではないか、と考えたからです。

その頃、粉屋の大阪to考想」さんのブログ記事「「2016-11-04 東京都市場地下空間に関する調査特別チームの第二次自己検証報告書の検証 ~ 東京都の恣意的な犯人特定の手法と論理破綻 ~」を読みました。そこには、件の「整備方針」には、「技術会議の提言内容(敷地全面A.P.+6.5mまで埋め戻し・盛土)をもって都の土壌汚染対策とする」など書かれておらず、逆に、地下空間設置が予定されていた、との指摘がなされていました。

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