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2021年8月19日 (木)

浅見定雄『にせユダヤ人と日本人』の山本七平批判を検証する(7)

十二 無理もない、「しのびよる日本人への迫害」(原題 しのびよる日本人への迫害―  ―ディプロストーンと東京と名誉白人)
○「それにしても、初版から十年以上もたった今、ベンダサン氏のこの御忠告ばかりは何と忠実に「日本人」に受けいれられて来たことであろう。
 日本人はたしかに、アメリカのうしろだてで、アジアにアフリカに、だいぶ恨みの種をまきつづけて来た。だが今やアメリカの世界支配にもかげりが見えて来た。となれば、日本の進む道はただひとつ、悪かった点を改めるよりは軍事的に武装することだ。・・・危い。日本の経済的「侵略」に対する反撥がこれだけ高まっているとき、核武装もしないで、日本人はアジア、アフリカ人の「迫害」から身を守れると思っているのか・・・
 何と正直な忠告であろうか。これで最近の日米防衛肩代り論もよく分かる。1000カイリ「シーレーン」のこともよく分かる。またそのことでフィリピンやインドネシアの大統領たちが『ニッポン、コワイ』とアメリカの大統領へ直訴しに行った気持も分かる。韓国や、さらに軍事大国の中国までが、ただ過去についての教科書問題だけでなく、これからの日本の軍事的強大化を恐れると言っている気持も分かる。みな、実によく分かるではないか。」

 

*これが、浅見氏の38年前の日本の戦後史に対する見方だが、今日、こうした見立てがはずれ完全に逆転したことは明らかである。氏にとって戦後の日本の歩みは「アジアにアフリカに対する経済侵略であり、だいぶ恨みの種をまきつづけて来た」となり、「悪かった点を改めるより軍事的に武装する」と非難する。
 そして、「韓国や、さらに軍事大国の中国までが、ただ過去についての教科書問題だけでなく、これからの日本の軍事的強大化を恐れると言っている気持も分かる。」「フィリピンやインドネシアの大統領たちが『ニッポン、コワイ』とアメリカの大統領へ直訴しに行った気持も分かる」というのである。
 それから38年を経て世界の情勢を見れば、むしろベンダサンの忠告の方が、今日、はるかに現実味を持って迫ってくると言わざるをえない。中国や韓国における日本を悪魔化する歴史教育が、将来、一体いかなる現実を招来するか。
 中国では、今、日本への核攻撃を正当化する動画が拡散している。中国政府はそれについて沈黙を守っている。この現実を見れば、かって浅見氏らの唱えた非武装中立の平和思想がいかに空想的なものであったか、この本はその愚かさを示す墓標となるであろう。

 

(迫害の類型的パターン)
○「異民族が、寄留地で頼りにしていた権力が崩壊する時発生する」
 よくわかった。もしこれがほんとうなら、ユダヤ人が二千年間迫害されて来たのは自業自得である。本物のユダヤ人のみなさん、何か言うことはありませんか。あなた方は全員、みな、そんな寄生虫的搾取階級でしたか。
 
*経済機構の末端に位置していて住民と接する職業はみな寄生虫的搾取階級ですか?

 

○非常に原始的な動物的本能に由来する異民族に対する”におい”と表現される差別感情の存在についてのエピソード。
 クラスの旅行で宿泊したホテルの主人が、同じクラスのユダヤ人に泊めてやらないと言った。外観では区別が付かないので不思議に思い、その主人にたずねたら「いや、においでわかる」といった、という話。
 これに対する浅見氏の感想「それにしても不思議なのは、K氏に対するホテルの主人の反応である。教養あるユダヤ人学生の「におい」までかぎ当てたこの主人がどうして、自分の膚の色の黄色も悪臭も忘れて厚かましい質問を仕掛けてきたこのいやらしい「ジャップ」K氏の匂いを我慢できたのだろうか」

 

*このいやらしい「ジャップ」という表現、日本人に対する人種的偏見を越えた「非常に偏ったイデオロギーに基づく憎悪」を感じさせる。

 

○「これに加えて絶対に忘れてはならないことがある。朝鮮人は口を開けば、日本人は朝鮮戦争で今日の繁栄をきずいたという。この言葉が事実であろうと、なかろうと、安易に聞き流してはいけない。・・・たとえこれが事実であっても・・・これは日本の責任ではないし、日本が何か不当なことをしたのでもない」
浅見氏「この本は、英訳されるより先に朝鮮語・韓国語に訳されるべきであった。」

 

*「たとえこれが事実であっても」について、これは朝鮮特需があったことを言っているのだが、戦後の東西冷戦の矢面に立ったのが朝鮮であり、北朝鮮の韓国侵攻により朝鮮戦争が始まったことは歴史的事実である。
 日本は、日本国憲法第9条により参戦を免れ、アメリカの後方支援基地としての役割を果たし、経済発展のきっかけをつかんだわけだが、これは「日本の責任ではないし、日本が何か不当なことをしたのでもない」のは明かである。
 「第一次世界大戦後のユダヤ人も、同じようなことを言われ、戦争に際して、ユダヤ人だけが何か不当なことをしたように言われ、それが次第に拡大され、ついには、もうけるためにユダヤ人が戦争を起こしたように非難され、それがアウシュヴィッツにつづくのである」とベンダサンは言う。
 「かっては民衆の暴動であったものが、今や、一国の政府の行動として起こされる時代にもなっている。すなわち政府が先頭に立って、ある人種の全財産を没収し、その人種の全員を国外に追放しても、大してニュースにもならない時代になってきた。従って、全地球的な企模において、日本人が、今、どういう位置にあるのか、いろいろと考えさせられるのは、私だけではあるまい。」
 こうしたベンダサンの指摘が、中国の南沙諸島の軍事基地化や、チベットやウイグルの併合、その後の弾圧を見れば、また、中国や韓国の政府主導の執拗な反日プロパガンダを見れば、こうした危惧が決して妄想ではなかったことが判るだろう。『日本人とユダヤ人』は今こそ読み返されるべき本ではないかと思う。

 

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